科学が注目する
スパイス&ハーブ図鑑
読了時間:約8分 | 最終更新:2026年3月
花粉の季節に注目されるスパイスとハーブを、含有成分・研究状況・使い方・注意点とともに詳しく紹介します。いずれも食品であり、医薬品ではありません。

ジンジャー(生姜)
スパイス生姜は数千年にわたり、インドや中国の伝統医学で使用されてきた代表的なスパイスです。辛味成分の「ジンゲロール」は加熱すると「ショウガオール」に変化します。
複数の研究で、ジンゲロールとショウガオールがプロスタグランジンやロイコトリエンの産生を抑制する可能性が示されています(試験管・動物実験レベル)。体を温める作用も知られており、血行促進に役立つとされています。
薄切りにした生姜をお湯で煮出す。ターメリックや黒胡椒と組み合わせると相乗効果が期待できます。
過剰摂取は胃腸への刺激になる場合があります。
ターメリック(ウコン)
スパイスカレーの黄色い色素として知られるターメリック。主成分の「クルクミン」は強力な抗酸化・抗炎症作用を持つとして、世界中の研究者から注目されています。
クルクミンはNF-κBという炎症シグナル伝達経路を阻害することが試験管・動物実験で確認されています。ただし、クルクミン単独では吸収率が非常に低く、黒胡椒のピペリンと組み合わせることで吸収率が約20倍向上するとされています。
ゴールデンミルク(ターメリックラテ)として。必ず少量の黒胡椒と脂質(牛乳・ミルク)を加えることで吸収率が上がります。
胆石のある方、抗凝固薬服用中の方は医師に相談を。大量摂取は避けてください。
ネトル(西洋イラクサ)
ハーブヨーロッパで古くから「春のハーブ」として親しまれてきたネトル。日本名は西洋イラクサ。フラボノイドの一種「ケルセチン」を豊富に含みます。
ケルセチンはマスト細胞からのヒスタミン遊離を抑制する可能性が試験管実験で示されています。また、ネトルエキスを用いた小規模な臨床試験(Mittman, 1990)では、花粉症症状の改善が報告されています。ただし、大規模な臨床試験での確認はまだ限られています。
乾燥ネトルをティーポットで3〜5分蒸らす。エルダーフラワーやペパーミントとブレンドするのがおすすめ。
利尿作用があります。腎臓疾患のある方は注意。妊娠中は避けてください。
エルダーフラワー
ハーブヨーロッパでは「薬草の女王」とも呼ばれる白い花。甘く爽やかな香りが特徴で、ハーブティーやコーディアルとして広く親しまれています。
エルダーフラワーに含まれるルチンやフラボノイドは、抗酸化・抗炎症作用が研究されています。伝統的に粘膜の保護や鼻水・目のかゆみの緩和に使われてきた歴史があります。科学的な臨床試験は限られていますが、欧州医薬品庁(EMA)の伝統的植物薬として認定されています。
乾燥エルダーフラワーを熱湯で5分蒸らす。ハチミツとレモンを加えると飲みやすくなります。
生の実・葉・茎・根は毒性があります。必ず乾燥した花を使用してください。
ペパーミント
ハーブ清涼感のある香りで知られるペパーミント。主成分のメントールは鼻腔に清涼感を与え、鼻が通ったように感じさせる効果があります。
メントールはTRPM8(冷感受容体)を活性化し、鼻腔の通気感を改善する効果が確認されています(感覚的効果)。ロスマリン酸は抗炎症・抗アレルギー作用が試験管実験で報告されています。
乾燥ペパーミントを熱湯で3分蒸らす。蒸気を吸い込むことで鼻腔の清涼感も得られます。
乳幼児への使用は避けてください。胃食道逆流症(GERD)の方は注意。
べにふうき(緑茶)
日本茶農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)が開発した緑茶の品種。緑茶として加工すると「メチル化カテキン」という特殊なカテキンが豊富に含まれます。
べにふうき緑茶のメチル化カテキンは、複数の二重盲検プラセボ対照試験(RCT)でスギ花粉症の症状(鼻水・目のかゆみ・鼻づまりなど)を有意に軽減することが確認されています(山本ら, 2009; 大森ら, 2014など)。花粉飛散の約1.5ヶ月前から継続的に飲み始めることが推奨されています。
70〜80℃のお湯で2〜3分蒸らす。高温すぎるとメチル化カテキンが変性するため注意。
カフェインを含みます。就寝前の多量摂取は避けてください。
ルイボス
ハーブ南アフリカ原産のノンカフェインハーブティー。赤みがかった水色と甘い香りが特徴。独自のフラボノイド「アスパラチン」を含みます。
アスパラチンはルイボスに固有のフラボノイドで、抗酸化・抗炎症作用が研究されています。カフェインを含まないため、就寝前でも安心して飲めます。
熱湯で5〜7分しっかり蒸らす。ミルクティーにしてもおいしく飲めます。
一般的に安全性が高いとされていますが、まれにアレルギー反応の報告があります。
カモミール(ジャーマン)
ハーブリンゴに似た甘い香りのハーブ。古代エジプト・ギリシャ・ローマ時代から薬草として使用されてきた歴史があります。
アピゲニンは抗炎症・抗酸化作用が研究されています。カモミールティーは就寝前のリラクゼーションに広く使われており、睡眠の質の改善が報告されています。良質な睡眠は免疫機能の維持に重要です。
乾燥カモミールを熱湯で5分蒸らす。就寝前に飲むのがおすすめ。
キク科アレルギーの方は使用を避けてください。カモミールはキク科の植物です。
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